もう試合で緩まない!竹刀の弦の結び方と失敗しない張り方の極意
稽古の最中や大事な試合の直前、竹刀の弦(つる)がたるんでしまい、焦って結び直した経験を持つ剣士は少なくありません。弦の緩みは打突の冴えを損なうだけでなく、先革が脱落して相手に怪我を負わせる重大な事故にもつながる危険な状態です。
全日本剣道連盟による用具安全基準の徹底が求められる現在、正しい竹刀の仕立てとメンテナンス技術は、昇段審査や公式戦に臨むすべての競技者が身につけておくべき必須マナーといえます。本稿では、初心者でも確実に頑丈に仕上がる弦の結び方と、試合中に絶対に緩まないプロ直伝の技法を徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:弦が緩む主因は「柄革への固定不足」と「初期伸びの放置」にあり、仮締めと本締めの2段階でテンションをかけることで完全防止できる。
- 要点2:先革・中結・柄革の結束には明確な規格と手順が存在し、特に中結の配置(全長の約3分の1)は試合検量の最重要項目となる。
- 要点3:全剣連の安全基準を満たす適切な張り具合(指で弾くと澄んだ高い音が鳴る状態)を維持することが、事故防止とパフォーマンス向上の絶対条件。
【なぜ緩む?】試合中に竹刀の弦がゆるんでしまう決定的な原因と対策
竹刀をしっかり組んだつもりでも、激しい稽古や試合の合間に弦が伸びてだらりと垂れてしまう現象には、明確な構造的理由があります。主な原因は「テトロン・ナイロン弦の初期伸び」「柄革の皮紐(乳革)の締め込み不足」「コマ(弦留め)の摩擦不足」の3点です。
新品の弦は張力をかけると目に見えて伸びる特性を持っています。仕立てる前に弦の両端を持って体重をかけ、あらかじめ「初期伸び」を取り除いておく下準備が欠かせません。この工程を省くと、使用開始からわずか数分で張力が激減してしまいます。
また、柄革の結び目で摩擦が効いていないケースも目立ちます。竹刀の弦が緩む原因と対策として最も効果的なのは、柄革の乳革に通したあと、一度強く引っ張って竹をわずかにしならせた状態で仮固定し、余り紐を二重に編み込むことです。締め付けのトルクを逃がさない工夫を施すだけで、強い衝撃を受けてもびくともしない強度が得られます。
【完全図解】剣道竹刀の組み直し手順まとめ|先革の交換から弦の通し方まで
竹刀のパーツ交換や組み直しは、正しい順序を守ることで誰でもスムーズに作業できます。全体の流れを整理した剣道竹刀の組み直し手順まとめを把握しておきましょう。
【ステップ1:先革の交換と弦の通し方】
四つ割りの竹の先端に先芯(プラスチックまたはゴム製の芯)を正しく装着し、先革を深く被せます。先革の穴につる通し(乳革)を取り付け、弦のループ側を通します。結び目が先革の内部でしっかりと引っかかるよう、弦を奥まで引き抜いて固定します。
【ステップ2:コマ(弦留め)と中結のセット】
弦に中結を通し、さらに竹刀のコマ(弦留め)を弦の中間部分に配置します。コマは弦のバタつきを抑え、竹の四つ割りを均等に保持するための重要部品です。弦をコマの溝へ確実に通しておきます。
【ステップ3:柄革への弦の接続とテンション調整】
柄革を柄頭までしっかりと押し込み、柄革についている「つる通し(乳革)」に弦の先端を通します。ここで適切な張力をかけながら結び留めを行います。
【プロ直伝】柄革の弦の結び方と固定方法|絶対に解けない張り方のコツ
竹刀の仕立てにおいて最も技術が問われるのが、柄革の弦の結び方と固定方法です。武道具店職人も実践する、緩みを完全にシャットアウトする張り方のコツを紹介します。
まず、柄革の乳革に弦を通したら、竹刀の先を床に当てて軽く体重をかけ、竹をわずかにしならせます。このテンションを保ったまま、弦を乳革の根元に向けて「逆方向(下から上)」へ折り返すのが最大のポイントです。この摩擦抵抗により、手を離しても弦が戻らなくなります。
続いて、乳革の輪に対して弦を2〜3回しっかりと巻き付け、最後にできた小さな輪へ弦の先端を通す「本結び(または止め結び)」を施します。余った弦は切り落とさず、乳革と柄革の隙間にピンセットや千枚通しを使って綺麗に巻き込んで収めます。竹刀の弦の適切な強さと張り具合の目安は、「指で弦を弾いた際に『ピン』と甲高い琴のような澄んだ音が鳴る状態」です。鈍い音がしたり、指で容易に横へずらせる状態は張りが足りません。
【位置調整が命】中結の結び方と全剣連基準に沿った正しい配置
弦を柄革に固定した後は、中結(なかゆい)の結束と位置決めを行います。中結は竹刀のピースが打突時に外側へ広がるのを防ぐ極めて重要な安全パーツです。
中結の結び方と位置調整における黄金比率は、「竹刀の先革の先端から、全長の約3分の1(物打ちの根元付近)」に配置することです。位置がずれていると、打突の衝撃で四つ割りの竹が破損しやすくなります。
中結の締め方は、竹刀の周りをきつく3周巻きつけた後、弦を巻き込みながら上下の交差部分で強固に結束します。革紐の端を隙間に通して引き締め、余計な遊びを完全に排除してください。結び終えた後、手で上下に動かそうとしてもびくともしない硬さになっていれば合格です。
【審査・試合前必見】全日本剣道連盟の竹刀安全基準と検量チェック項目
公式戦や段位審査の前に行われる「竹刀検量」では、安全基準を満たしていない竹刀は即座に使用禁止(失格)となります。全日本剣道連盟の竹刀安全基準および試合前の竹刀検量チェック項目を事前に自己点検しておく必要があります。
検量では重量(高校生男子440g以上、一般男子510g以上など)だけでなく、先革の長さ・先端部の直径・中結の位置が厳密に測定されます。
特に見落としがちなのが、弦の緩みによる「先革の浮き」や「中結の緩み」です。弦が緩んでいる竹刀は、相手の面金や小手に引っかかって先革が抜ける危険性が高く、検量員から厳しく是正を求められます。また、竹のささくれや割れがないか、ピース同士の隙間に異物が挟まっていないかも確認されます。出陣前には必ず各部の締め直しを行い、万全の状態で検量に持ち込みましょう。
【初心者向け】竹刀メンテナンス方法と弦を長持ちさせる日常のお手入れ
竹刀を常に最高のコンディションに保つには、日常的な初心者向け竹刀メンテナンス方法を習慣化することが大切です。竹と革、弦はそれぞれ異なる性質を持つため、適切なお手入れが寿命を大きく左右します。
稽古後は毎回、竹刀の表面をチェックしてささくれがないか確認します。小さな傷は「竹刀削り」や紙やすりで平滑に整え、専用の植物油(竹刀油やクルミ油)を薄く塗布して乾燥によるひび割れを防ぎます。
弦や先革、柄革などの革製品は汗の塩分や湿気で劣化します。弦が毛羽立ってきた場合や、中結が伸びて細くなっている場合は、安全のため迷わず新しいパーツへ交換してください。定期的に組み直してテンションを調整し直すことが、竹刀本体の寿命を延ばし、安全な稽古環境を維持する最良の手段です。
【竹刀 弦 結び方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:弦を結ぶときにどうしても力が足りず、ピンと張ることができません。簡単なコツはありますか?
A1:腕の力だけで引っ張るのではなく、竹刀の先端を床に当て、自分の体重を軽く柄革の上に乗せるようにして竹をわずかにしならせてください。竹が元に戻ろうとする弾性を利用しながら乳革へ巻き込むと、驚くほど強い張力を簡単にかけることができます。
Q2:弦の余った部分はハサミで切ってしまっても問題ありませんか?
A2:切り落とすのは避けてください。短く切ってしまうと、後から弦が伸びて締め直したくなった際に作業ができなくなります。余った紐は、柄革の乳革の周りにきれいに巻きつけるか、目打ちなどを使って乳革の隙間に編み込んで収納するのが正しい作法です。
Q3:試合当日に中結が緩んでしまった場合、応急処置はどうすればよいですか?
A3:中結革を少し湿らせると革が柔軟になり、強く締め直すことができます。ただし、水分が乾くと収縮するため、締め直した後は位置が先革側から3分の1の位置にあるかを必ず再測定してください。予備の組済み竹刀を常に1〜2本準備しておくのが最も安全な対策です。
まとめ:正しい弦の結び方を習得して安全で力強い剣道を
竹刀の弦を結ぶ作業は、単なる道具の手入れにとどまらず、自らの安全と対戦相手への敬意を守るための基本動作です。緩みのない引き締まった弦は、竹刀の打突力を最大限に引き出し、稽古への集中力を高めてくれます。
先革から柄革、中結に至る各部位の役割を正しく理解し、定期的な点検と組み直しを行うことで、竹刀のトラブルは未然に防ぐことができます。確かな仕立て技術を身につけ、自信を持って次の稽古や大一番の試合に臨みましょう。 (出典: 竹刀 弦 結び方(Yahoo!ニュース))